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鍛冶屋さん訪問6〜こだわりの越後鍛冶「日野浦刃物工房」再訪

2002年11月の訪問に続いて、どうしてももう一度日野浦さんをおたずねしたいと、2003年2月19日冬の晴れ間の日に、東京出張をそうそうに切り上げ、一路新幹線で新潟へ向かいました。

今回もお忙しい中、長時間にわたっていろんなお話を聞き、また前回の訪問では見せて頂けなかった日野浦さんの火造りも見せて頂き、大変有意義な鍛冶屋さん訪問となりました。
日野浦司の鋼付け

 おそらく、現在もっともいい鉈を作る職人の筆頭ではないかと思われる(実際多くの人がそう評価している)日野浦司さんに鋼付けを見せて頂きました。
その手際の良さは「さすが!」と思わずうなる素晴らしさで、いとも簡単に、きれいに鋼が付けられていきました。

右が母材の軟鉄、左が鋼


炉に火を付け、軟鉄を赤める日野浦さん


炉の前、横には、しかかり品が、細かい仕様を書いた紙と一緒に整然と並んでいました。
赤められた地金を、ベルトハンマーでたたき、伸ばして中子部分などあらかたの形を作ります。
再度地金を赤めた上へ、鍛接剤を付けて鋼をのせます。
硼砂(ほうしゃ)などで作った鍛接剤
これを炉で赤め、その色を見て素早く金床の上に載せてタンタンと手早く叩いて鍛接します。

再度炉で赤め、ベルトハンマーで、打ち伸ばして鉈の形を作っていきます。

このときの日野浦さんは、普段の柔和な表情と違い、近寄りがたい雰囲気がありました。

瞬く間に2丁分の鉈が鍛接されました。

この後、一旦赤みが取れるぐらいの温度まで、さまし、再度赤めて叩き、と言う行為を3回程繰り返して、
やっと1丁の鉈の火造りが終わります。
これが、標準的な「味方屋作」の鉈の火造りです。

一気に赤めて、だだーと叩き伸ばしてしまうと、早くたくさん作れていいのだけれど、それでは鋼の組織が粗くなり、刃こぼれしやすい、切れ味の悪い刃物になってしまう。
またこの回数が多すぎても、やはり熱せられすぎた鋼は、もろくなってしまいます。

だから、日野浦さんは、標準品で3回、「味方屋作 白紙」や「司作」の場合は4〜5回赤めて叩くという行為を繰り返して、鋼の組織を細かく強くして、少しでも良い刃物を作るようにと、丹念に作っていきます。
このこだわりが、日野浦作品の品質の高さ、切れ味の良さにつながっています。

 
熱の加え方で、鋼がどうなるか、を実際に炉で赤めて見せてくれました。

右端が赤めすぎた状態、非常に粒子が粗く、もろいのが一目で分かります。
左へ行くに従い、良い状態になっています。

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