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鍛冶屋さん訪問〜2〜三木
唯一の「肥後守」製造 永尾カネ駒製作所

肥後の守と竹とんぼ
かつては、男の子がみんな持っていた「肥後守」(ひごのかみ)、三木市のたくさんのメーカーが製造し、文具店などで普通に売ってました。
ちなみに店主桜井(42歳)も持っていました(本物かどうかはさだかではありませんが…)
しかし、残念ながら現在、登録商標である「肥後守」の銘の入ったナイフを作っているのはこの永尾駒製作所さんだけです。
秋晴れの10月7日午後、おじゃまいたしましていろいろお伺いしてきました。
こちらが「肥後守」を作る唯一の鍛冶屋さん、四代目の永尾元佑さんです。
にいろいろお話をお聞きしてきました。
ちなみに、初代が駒太郎さん、二代目が重次さん、三代目が章さんと言うことで、初代の駒太郎さんから、取って銘が「カネ駒」となっています。

失礼ながらお年を聞いてみました(^_^;)69歳とのこと。
大変お元気で現役ばりばりです。
何歳からお仕事されてたんですか?と聞いてみますと
「生まれた時から鍛冶屋や」とお返事、隣で奥様が
「何言うてんの生まれた時から出来るかいな」とやんわり仰られてました。
この奥様が最後のカシメや仕上げなどの作業をされています。
永尾さんもですが、奥様もすごく優しくて穏和な方でした。
よく鍛冶屋さんは、ご夫婦でお仕事されてますが永尾さんもそうでした。
「1人では絶対出来ない仕事や」とのことです。

肥後の守製作者永尾元佑さん
肥後の守切断機

これが一般的な肥後守の鋼材と、切断する機械です。
右側に立てかけてあるのが鋼材で、軟鉄の間に青紙、又は白紙を挟み込んだ複合材になっています。
それを、細長い形にカットして(手前に何個かあるような感じです)その後鍛造、焼き入れなどをします。
また、刃物店用の割込材と違って、ホームセンター向きにはSK材をカットして焼き入れした物も製造していると言うことでした。
こちらは、叩いて無くってそのまま型抜き成型焼き入れ刃付けしているらしいです。

この日は、火を入れていなかったのですが
「せっかくやからちょっと鍛造と焼き入れするとこ見て行くか」
と、炉に火を入れてくれました。
コークスに火を付け、送風機で風を送るとみるみる赤くなってきます。
「はし」と呼ばれるやっとこのようなもので、ナイフの刃を掴み、その中へ入れます。

待つこと、数分ちょっと取り出しては、鉄の赤まり具合を見て、 金床へ。
まず、刃の根元の方と「ちきり」部分をまんべんなく叩いて、はさみかえ、
刃の側を先にして再度、火の中へ。
また数分赤め、金床の上で刃先から根元まで裏表、峯の部分とトンテンカンと、調子よく叩いていきます。
肥後の守鍛造
肥後の守鍛造
肥後の守鍛造
肥後の守鍛造
肥後の守成形
肥後の守成形
肥後の守研磨
こちらは、複合材じゃなく、本割込鍛造したものをカットして成型しているところ。
鍛造の後、成型、荒研磨します。
肥後の守焼き入れ
肥後の守焼き入れ
肥後の守焼き入れ
その後は、焼き入れです。鍛造した炉で、赤めて水の中へ「ジュッ」っと、やります。
肥後の守刻印

ハンドル部分に、「肥後守定駒」と刻印を入れます。

その後、曲げ加工、研磨、刃付けした刃を取り付けてカシメ、仕上げ。
やっと完成です。

機械も使いますが、手作業が多く手間のかかる仕事です。

肥後の守
出来上がったいろんなサイズ、
クラスの肥後守
肥後の守作品
肥後守愛用者が作って持ってきた作品
肥後守と言えば、鉛筆削り、竹とんぼ
そしていろんな、細工などあらゆる遊び、生活の道具として使える万能ナイフですね。

鍛造、焼き入れされた本物の「鋼」だからこその切れ味、そして手頃な値段が魅力です。
肥後の守で削った鉛筆
こちらは鉛筆削り大会の鉛筆
     
現在、本物の登録商標である「肥後守」を作る鍛冶屋さんは永尾さんだけ。
「やっぱり、他にいないのは寂しい、切磋琢磨する相手がないとあかん。」
とおっしゃってましたが、明治から一時期は、その品質と低価格が人気で
大変たくさんの「肥後守」を作る業者があったらしいのですが、数が増えると
価格の競争に陥り、結果品質の悪い物がたくさん出てそれらの業者はどんどん廃業。
最後に残ったのが、永尾さんのところです。
「安いけどよう切れる、それが肥後守や」という永尾さんの誇りが今でも、
手間を惜しまずきっちり叩いて焼き入れしている手造りの行程を止めさせないのでしょうね。
現在日産200本ということで、手造りではこれが限界や、とおっしゃってました。

後継者がいない、ということでしたが確かに「肥後守」今でこそ再び脚光を浴びていますが
危うく消えゆきそうになっているナイフではあります。
われわれ大人が、懐かしがって持つのではなく、子供たちが使ってくれないと残らないですよね。
何とか後世に残したい、そんな品です。
肥後守カレンダー

全国の小学校や、子供会などの団体で「肥後守」の良さを見直そう、という動きが広まっています。

いろんな事件があると、悪者にされる刃物ですが、鍛造した時の暖かさが残っているような気がする「和式ナイフ」の原点とも言える「肥後守」

そんな暖かさがカレンダーになって、永尾さんの元に届けられました。
一部ご紹介いたします。
肥後の守カレンダー
肥後の守カレンダー
肥後の守カレンダー
肥後の守カレンダー
肥後の守カレンダー
ほんとに、「肥後守」ずっと受け継がれていって欲しいな、と心から思いますね。

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