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鍛冶屋さん訪問4〜こだわりの越後鍛冶「日野浦刃物工房」2

続いて、工房の中へと案内して頂きました。

母材を割り鋼を付ける準備をした
材料が、整然と並んでいました。
   こちらは鍛造の終わった段階。
鎚だけで、グラインダーなどはかけてない状態でこれだけきっちり形になっています。
少しでも成型などの手間を減らす為、火造りの段階で形作っていくと言うことでしたが、本当に見事なとしか言いようがないです。
堺などの分業が進んでいる産地と違い、日野浦さんのところでは、火造りによる鋼付けから、焼き入れ、そして研ぎまで一貫してやられています。
日野浦さん曰く「研いだ時に、焼き入れの不具合、ひずみなどがわかる」と言うことで最後まで人に任せられないそうです。

研磨部屋にある水研式縦型砥石他にも何台かありましたが全てきれいに手入れされていました。

こちらは手研ぎ用の砥石。天然から人工まで整然と並んでいます。

これは十数万したと言う天然砥石
 

ちょっと研いで見せて頂きましたが、日野浦さんの特徴は、裏面の研ぎにあります。
普通、右手でひっくり返して研ぐのですが、日野浦さんは左手に持ち替えて右とまったく同じように研ぎます。
修業時代に「左右均等に研げ」と言われて練習したそうです。
「司作」シリーズの引き込まれるような刃の輝きはこの手研ぎ仕上げから来ています


この日は一日、二代目の勇次郎氏が牛の爪を切る刃物を作っておられました。
勇次郎さんは80歳でまだまだ現役、力強く鎚をふるっていました。
こちらは息子さん四代目になる、睦さん。
日野浦工房の伝統を継承するため修行中。

10年以上前、’89に賞を受賞した作品。
「売って欲しい」と言う声があちこちからあったのですが、結局1丁しか作らなかったそうです。
種類の違う材質を、何度も折り返し鍛錬して割込み、火造りして作る「鍛地」
見た目の美しさだけでなく、粘りがあり無理の利く刃物になります。
どんな材質を使用しているかは教えて頂けませんでした。(^^ゞ
小さな鎚で丹念に叩かれた美しい「鎚目」仕上げ。
装飾用に型で「バン」と押して鎚目を入れるところもありますが、日野浦さんは、自身で丹念に小さな鎚を使って入れていきます。
これにより、鉄が締まり粘りを出します。
これは、錬鉄に使われる古鉄。
これを赤めてそこに鋼を割り込みます。
かなり神経のいる作業が多くありますが、出来上がった刃物は独特の味わいのある物になります。
また、不純物を多く含むその軟鉄部分は、砥石によくかかり研ぎやすくなると言うことです。

朝一番で、工房におじゃまし、夕方の特急では帰れると思っていたのが、話は尽きず、気が付くと、外は暗くなっていました。
しかも、早くも雨に雪が混じる寒空に、さすが北国、と改めて実感。
結局、仕入れさせて頂いた鉈数本を抱え、帰りも夜行に乗って帰ることになりましたが、本当に有意義な、工房訪問となりました。

ぜひ、近いうちにもう一度、と思って新潟を後にしました。

暗くなった道に雪が舞っていました。
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